国境の南 South of the Border [Travel 旅行]
台湾映画「海角七号」で謳われる国境とは何処のことであっただろうか?
日本人教師が敗戦後、引き揚げるとなれば基隆港から出港したことであろうから、戦後に新しく出来た沖縄と台湾の間の国境ということであろうか。
沖縄は戦後長い間、米国の統治領であった訳で私が子どもの頃の沖縄は外国であったし、江戸時代の沖縄は琉球王国であった。
だが、現代の主人公たちの舞台が台湾南部の恒春であったことから考えると国境とは台湾南方と考えれば自然だろうか。
であれば、それはバシー海峡となる。
それは台湾とフィリピンの間の海峡だ。太平洋戦争時、ここでは幾多の日本輸送船が撃沈された。
神風攻撃同様の無謀な輸送が被害と悲劇を拡大させた海である。
そのバシー海峡を望む台湾の島が蘭嶼島である。
Orchid Island, Taiwan 蘭嶼島
蘭嶼島は台湾原住民の島だ。そこにはタオ族が多数住んでいる。
台湾駐在時、ダイビングの師匠が主催するツアーに誘われたことがある。高雄辺りの濁った海とは違って、透明度は素晴らしいのだそうだ。
海面から海底下40mの沈没船が見えるという。透明度は極上だ。
だが、仕事の都合もあり行くことを断念してしまったのだけど、それを今でも後悔している。
その昔、台湾中部の山岳地帯にある先住民族の集落を訪ねたことがある。
その時に驚いたのは、どうして台湾の山奥にフィリピン人系統の人たちが住んでいるのか?というものであった。
私が訪ねたブヌン族の一家の顔つきはほとんどフィリピン人と言っていいほどであった。
その頃はまだ台湾に昔から住み続けていた人々のことについて私は無知だった。
台湾で原住民と呼ばれている民族の人々がここに紹介されている。
その頃、蘭嶼島の漁民がフィリピンはバタン諸島から花嫁を迎えたという話を聞き及んだ。
バタン諸島とはバシー海峡の南、フィリピン北部にあるバタネス州にある。
そこはルソン島よりも台湾の方が近い。
そして、国境でもあるバシー海峡を挟んで遠い海の向こうであるにも関わらず、
驚くべきことに蘭嶼とバタンでは言語がかなり共通しているのだそうだ。
それは台湾でもないフィリピンでもない彼らだけの言語だ。
Batanes Islands, Bashi Channel
そこにはイバタン族と呼ばれる人々が住んでいる。
その言語はタガログ語とは別物だ。
台湾から南太平洋に連なるマレーポリネシア民族の驚くべき世界だ。
台湾本島すぐ側の島とフィリピンの島の人々の言語が相当程度に共通していて、
民族性もかなり共通項があるというのである。
私は蘭嶼島の夫とバタン諸島から来たという花嫁に会ってみたかった。
またバタン諸島とはどんな所か行って調べてみたかった。
その頃に、マニラオフィスのスタッフに問い合わせてみたことがある。マニラからバタネス州まで航路はどうなっているか?と。
スタッフの返事は「飛行機は週に1便程度しかないですよ。交通は不便です。」というものであった。
何より日本語は非常に上手なスタッフだった。直ちにそれを信用してしまい、バタン諸島行きを断念してしまったのである。
バタン諸島に業務で行ったとしても週に1便では滞在期間が長過ぎるし、欠航したらアウトである。
リスクが大き過ぎた。しかし台湾駐在から引き揚げた後に空路は週に数便あることを知った。後悔先に立たずである。
Batanes Islands, Philippines
蘭嶼島の夫は漁民である。おそらく漁業を通じてバタンとは交流がかなりあることだろう。
その交わりの中で花嫁を見初めたということだろうから、実に興味深かった。
その花嫁は中国語も台湾語も話せないがタオ語はイバタンの言語とかなり共通しているので
生活にはまったく支障がないのだと。
しかし、漁民同士の交流で、出入国手続きはどうしていただろうか?
バタンからの蘭嶼島への定期航路などあるはずもなく、私は漁船に乗せてもらって
バシー海峡を渡ることも夢想したが、業務へのリスクが高過ぎて断念してしまったのである。
今こうして思うが、YouTubeの映像を見ると、蘭嶼島もバタン諸島も大自然は素晴らしく美しい。
タオ族やイバタン族の人々も実に興味深い。
蘭嶼島からバタンへ船でバシー海峡を渡ってみたいが、もう今では簡単には叶わぬ夢だな・・。
フィリピンにはサーフィンのメッカも数々と・・
2010-02-09 16:05
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コメント(2)
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ブログへのご訪問ありがとうございました。
台湾は台北にしか行ったことがなかったので、
台湾にこんなに美しい場所があったなんて
全然しりませんでした^^
by MANGO (2010-02-12 17:25)
MANGOさん
コメントありがとうございました。
台湾では3つの離島に行ったことがあるのですが、
ここには行きませんでした。いつかは行ってみたい所なんです。
by 大黒屋 (2010-02-12 18:21)