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悪夢の悪夢 Nightmare Nightmare [Accident 事件事故災害]






福島第一原発の原子力災害を見ていると避難を余儀なくされた方々でなくともまるで悪夢を見ているかのようだ。
だが悪夢は時として現実となるのにも驚く。
今は亡き巨匠、黒澤明監督が描いたオムニバス映画「夢」の一編「赤富士」は今こうして見ると驚きを隠せない。










 
「赤富士」 "Mount Fuji In Red" from "Dreams"  1990

 








晩年の黒澤明は観客にまるで演劇舞台を観劇をさせるかのような演出になり、
往年のダイナミックな活劇演出が失われてしまったので余り好きではないのだが、この赤富士はどうだろう。
Facebookに載せたこの場面に、ロシアの知人は「夢には気をつけるべきだ。空想ファンタジーの小説や映画は現実になってしまう。」と書き込んでくれた。


「赤富士」では6基の原子炉が次々と爆発し、大量の放射能が人々に降り注ぐという悪夢だ。
この映画は黒澤明が見た夢を下敷きにして製作されたそうで、巨匠は墓場の陰で今何を思うだろうか?
福島第一原発の原子炉は6基だ。何の因果だろうか?2基は小康状態だが、4基は危機的事態が進行している。


それにしても、この事態は天災だけがもたらしたのではなく、スマトラ沖大地震後の対応を怠った無策がもたらした人災でもある。
あれだけの大津波がインド洋で壊滅をもたらしたのに、国内原発関係者は無視したままであった。
命よりも経済、お金を優先した社会が招いた大惨事なのだ。自らの技術を過度に過信し、想定外の出来事に対応出来ない様は、ある古典的SF映画を思い起こさせる。





 



 
   
「禁断の惑星」 "Forbidden Planet" 1956
 









「禁断の惑星」はSF映画史上に輝く最高傑作だと個人的に思っている。
この映画はあの時代に早くもロボットを登場させて、SF映画に必要な要素をふんだんに盛り込んでいる。
いや、太陽系外惑星そこに住んでいた先住民族(宇宙人)、宇宙船、怪物といった要素だけではない。
そこには哲学的な啓示もなされている。
高度に発達しすぎた文明が行き着いた先に最期は何が起きるのか?


地球から惑星アルテアにたどり着いた乗組員は次々と謎の怪物に襲われる。
それは先住人のクレール人が残した文明の遺物であった。潜在意識の怪物。
それはアルテアで生き残っていたモービアス博士の潜在意識が生み出したイド(自我)の怪物なのであった。
博士自身が生み出してしまったイドの怪物が乗組員だけではなく博士の娘さえも襲うという恐るべき事態。
最後の運命や如何に・・?










 
 








高度に発達した文明が辿った末路。自らの最先端技術を過信したが為の滅亡。
SF映画の早期に思索深遠なこのようなシノプシスを持ち込んだ「禁断の惑星」は故に傑作中の傑作と言える作品となった。
後のSF映画、例えば「スターウォーズ」「2001年宇宙の旅」などに多大な影響を与えたものと拝察する。


それにしても福島原発事故の様は自らの文明技術を過信して惨禍を予測せず、漫然と経済効率を優先してきた付けと言えないだろうか。
その付け、代償は余りに大きい。
想定不適当事故は現実になる。国内の、いや世界の名だたる企業が思い知ったことだろう。
思い知ったが、もう既に東京電力も政府も背水の陣どころか、崖っぷちから落ちて両手で崖にぶら下がっている状態だ。
福島では「禁断の惑星」と同様で目に見えない怪物との闘いを余儀なくされている。
繰り返し繰り返しの襲撃を受け続けている。この怪物を退治出来るのか?日本は再び這い上がれるのか?

日本人だけではない。世界の人々が不安をもって注視している。この結末は映画のようなことになるのか?どうなることだろうか?











「魚が出て来た日」 THE DAY THE FISH CAME OUT [Accident 事件事故災害]





とうとう東京の水道でも放射能が暫定基準を超え始めたようだ。乳児基準とは言え、計画停電に続く不安感は首都東京まで被い始めている。
それでなくても、余震が日常茶飯事のように続いているようだし、お察しするしかない。


無論、被災地の惨状は申し上げるまでもない。さきほどのTVニュースで子ども3人と父親を亡くした男性が
葬儀で火葬場でたちすくんでいる場面を拝察したのだが、言葉もない。
いや火葬に出来るのはまだ良い方で、身元確認もできないまま土葬にするしかない状況に追いつめられてもいるようだ。



それにしても露地野菜の放射能汚染に止まらず、海水でも放射能が測定されているようだ。
放射能は食物連鎖の過程で濃縮されていくから、これも今後が懸念される問題だ。
土壌汚染も通常の1600倍?! 地震津波被害に止まらず福島県は実に深刻な事態に直面している。


これを書いている今、九州でも震度3の地震との速報。日本列島は巨大地震の影響で列島自体が歪んでいるのだろう。ここまで広範囲に列島各地で余震あるいはその影響を受けたような地震が続くというのは記憶にない。


さて、水道の放射能汚染が福島で確認されたことは既に報じられていたが、東京でさえもこんなに早く確認されるとは驚きでもあった。
水道、魚、放射能、このキーワードで記憶回路で検索したかのように思い出した映画がある。








「魚が出て来た日」"THE DAY THE FISH CAME OUT" 1967 








大阪万博の頃だったか、TVで放送されたこの映画を見た。コメディタッチなのに内容は実にシリアスであった。
ギリシアの島の開放的な雰囲気、ファッション、音楽の一方で爆撃機から紛失した核は行方不明になる。
それと知らず、金属で密閉されたボックスを開けようとする島人。
これがとんでもない事態を引き起こす。核物質がアクシデントの積み重ねにより給水施設に投じられてしまうのであった。
そして、魚が港で大量に浮き始めて恐怖の事態が明らかになる・・。




主演のキャンディス・バーゲンが何とも美しい。ファッションも44年も前の映画とは思えないほど鮮烈だ。
コミカルなストーリー展開の一方で、恐るべき事態は静かに深刻に進行していく。
こんなことはあってはならない、あるはずがない、そういうことが起きないように英知は尽くされる。この映画を見ながら現実にはそういうことは起きないと誰もが思ったはず。




















だが、日本でそれが現実になっている。何とも似たようなロジックで驚くべきことに日本でも同様の現象が起きつつある。核爆弾と原子炉災害という違いはあるが、世界唯一の被爆国でありながら技術大国だという慢心はなかっただろうか?
スマトラ大地震でM9.3という大地震を目の当たりにしながら大津波対策を怠ったことがこの事態を引き起こしたのではなかっただろうか?
東京電力の惨劇を目の当たりにして今ようやく国内各地の原発では大地震大津波対策を本格化させるのだろう。
しかし、それでは遅かったのだ。



これは天災に引き続く人災だ。被爆国が自ら日本人だけではなく、そこに住む全ての生命に脅威を引き起こして、
世界で2番目というレベルの放射能汚染国に成り果ててしまった。
私たちはこれからのあり方を問われてもいるようだ。日本人がこれからどう生きていくのかを見つめ直すことになるのだろう。
















そうする為にもこの危機を脱しなければならない。東京電力をはじめ原発、政府関係の責任は重いどころではない。万死にも値する。危機を抜けられたら?組織を解体して出直すことになるのだろう。



映画でも原子炉爆裂のような巨大放射能拡散事故という事態までは描いていないのであるから、そんなことが現実になってもらっては困る。困るがそういうことも起きない保証がどこにもないところに現実の恐怖がある。
これが悪夢であったならよいのだが、日本人は当面は放射能とお付き合いをしていかねばならない。悲劇的現実だ。


果たして映画同様に魚が浮いて来る日を私たちは見つめるような事態が来るだろうか?









第3の怪物 The 3rd Monster [Accident 事件事故災害]





 現代の人智を越える大地震、それに続く大津波。想定外の自然現象に人は為す術がない。
M9.0の地震も震源地が遥か沖合いであったから、建物も多数が持ちこたえていたようだが、
巨大な津波は堪えた構造物を悉く破壊してしまった。
高さ数メートル、厚さ1メートルもの防潮堤も根こそぎもぎ取られている訳だから、想定を遥かに越えた津波であったということだろう。所によっては高さ15メートルにも達していたそうだし、5階部分をやられたビルもあったので想像を絶する。
スマトラ地震を経験したインドネシアの女性がこの災害にビル上階に逃げるのではなく、高台に逃げるという教訓を得たとしていたのが印象深い。










Fukushima 1st Nuclear Power Plant by Digital Globe
Fukushima.jpg


 
























 





 



福島第一原子力発電所







しかし、大地震、大津波という怪物に続けて襲われて、それで終わらなかったのがこの大災害の悲劇だ。
今やその第3の怪物は天災と人災とが編み出したモンスターだ。
我々人類が天災を引き金にしたとは言え、生み出したその怪物に対処出来ないと音を上げるようなところまで追い込まれたのだ。

それにしても、爆発を引き起こすに至った東京電力が一時、職員全員の撤退を打診していたということが報道されている。これまでの報道でも一部の現地スタッフを退避させたことが明らかになっているので、この報道も大きく外れた誤報ということでもなさそうだ。

国内の原子力発電の安全性を誇っていた関係者の矜持は何処へ行ったのだろう?
万が一にも臨界などという惨事に至るとしても逃避したのだろうか?
そもそも負傷者まで出して、周辺住民、自治体に多大な被害迷惑をかけて、計画停電などという事態を引き起こしておきながら、最高責任者の姿が見えてこない。


首相、官房長官が全面に出て説明責任対応に追われているというのに、東京電力は役員が20人ほどいるようだが、ほとんど前面に出て来ない。説明は中堅どころに任せて陰に引いている。
これは国家的危機だ。一歩間違えれば東日本は麻痺して半身不随になってしまう。


それを分かっているのか?分かっているから逃げているのか?縁戚者の中に電力会社管理職がいるので言いたくはないが言わねばならない。
最高責任者が前面に出て原子力災害、計画停電について随時説明もしないような電力会社は原子炉の廃炉と一緒に
廃棄処分で結構だ。ゼロから出直すべきだ。それほど危機対応はなっていない。













自衛隊ヘリコプターに東京電力の職員が同乗してこの映像を撮影したようだ。
自ら志願したのか指示されたのか分からないが、きちんと撮影するという余裕はまったくなかったようだ。
ほとんどの映像がアップのままで使い物にならない。この映像のみがワイドで撮影しているので辛うじて現場状況を説明してくれている。


ロシアやウクライナの知人達は如何にこの事態が脅威なのか知っているから、何度もこっちに避難して来いと言ってくれている。チェルノブイリのような原子炉爆発ということにはならないだろうが、原子炉の破壊、放射能の大量放出拡散という危機は続いている。
ロシアの知人は原子炉で闘っているヒーロー達の名前、顔は知っているのかと問うてきたが、No name, No faceと答えるしかなかった。


きょう以降も原子炉では放水が続けられてギリギリの作業が続くようだが、結末はどうなるであろうか?
その放水作業も警視庁の高圧放水車は80メートルも水を飛ばす能力があるそうだが、44トンも放水したにも関わらず放射線の為?届かず?作業を断念、もう既に撤収したそうだ。


しかし、自衛隊の高圧消防車は功を奏したようで建屋には30トンが放水されたようだ。
思うに放水能力はともかく、失礼ながらこういう緊急非常事態には自衛隊や消防救助隊の方が肝が据わっているように感じる。彼らの作業は時に命を賭してという覚悟があるものなので、電力職員、警察官とは腰の入れ所が違う様にも思ったりもする。
















まあ、いずれにしても命を賭して現地で闘って来ているすべての人々を賞賛するしかない。


それに比べて、こういう危険構造物を関東から遠く離れた東北地方に持って来て、東京でふんぞり返って来た電力、原子力専門家、政府関係者の連中でこの危機に原発現地に入って前線で闘っている者はほとんどいないことだろう。
それに原子力安全・保安院は連日記者会見を行っているが彼らは何をやっているのだろう?
結局、非常事態に統合指揮するシステムがなく、内閣と東電とで統合対策本部を設置したようだが、
国家的緊急危機管理をどうするか考えるべきところに来ている。


まあこの事態が最終的にどう転んでもそういうことだ。そして誰がヒーローで誰がそうでなかったか、
俗的関心ではなくて、そこからも国家的危機管理のあり方が見えてくるような氣がしてならない。











チャイナ・シンドローム China Syndrome [Accident 事件事故災害]





東日本大震災で亡くなられた方々、ご家族を亡くされた方々に謹んで御悔やみ申し上げます。
また被災され痛恨の極みの中で避難生活を続けておられる方々に心より御見舞い申し上げます。








 
China Syndrome 1979









大地震に続く大津波で破壊された惨状に言葉も出ない。
阪神大震災も現地から送られてきた最初の映像もその光景は信じ難く息を飲む光景であった。
しかし、大津波の映像が恐るべき力をもって破壊していく様を私たちに見せつけたことで言えば、
衝撃は凄まじい。世界の人々が驚きをもって衝撃の中でこの惨事を観ている。



しかし、大地震、大津波の衝撃に続いて起きた福島第一原発の危機は三重衝撃となって世界に伝わっている。
M9.0の大地震も信じ難く、高さ10m以上もの大津波も信じ難いのであるが、それに引き続く原子炉危機は
同様と言うかそれ以上に信じ難い事態だ。



私の年代の人であれば、スリーマイル島原発事故、チェルノブイリ原発事故の衝撃は生々しい記憶となって残っている。
そのスリーマイル島原発事故で驚いたのは、映画「チャイナ・シンドローム」が公開されて僅か12日後に
ほとんど同内容の非常事態が現実になったことだった。








 

 
 





原子力発電所でのメルトダウン危機を描いたこの映画はその事態が現実となったことでさらに衝撃が大きくなったように記憶している。
その年に日本でも公開されて真っ先に映画館に足を運んだものだった。
当時は日本各地で原子力発電所計画が進行して、激しい反対運動も続いていた頃でもあったし。








スリーマイル島原発事故 Three Mile Island NPP Meltdown Crisis








それにしても、こういう危険なエネルギー源を人類は必要としなければいけないのか、当時も今も疑問は消えない。
住民側にも理解のある大手新聞でも専門記者が日本の原発は充分なまでもの安全性があることを本にまとめていたりで、そういうことも言えるのかと何が真実なのか見極められなかった。



しかし、ここに来て地震津波後の原子炉危機が日本で現実になっている。それも我が目を疑うような光景だ。








   
福島第一原子力発電所・1号機と3号機の爆発事故  








この1号機と3号機の爆発事故には驚いた。肝を冷やした。メルトダウンが現実となり大量の放射能拡散というスリーマイルやチェルノブイリが頭を過った。
その後の事態推移も一進一退だ。私たちにはこの爆発や煙以外に何がそこで起きているのか目には出来ないから実感が伝わって来ない。
しかし、そこでは殺すか殺されるかと言うような血みどろの殺戮戦が続いている。




きょう先ほど3号機と4号機の現場写真が初めて国民に公開された。
これにも驚いた。衝撃的な写真だった。外観だけを見れば、これはもうチェルノブイリ原発のような惨状だ。
こんな状態に追いつめられて私たちは勝てるのか?
自らが生み出したモンスターに襲いかかられているのだ。この時点で世界の誰もこの結末を予想出来る人はいない。








福島第一原発・3号機4号機の写真公開








しかし、一つ言えることは地震、津波という自然災害に人は結局勝てないが、メルトダウン危機は天災に人災が加わった物だ。
何重もの安全対策が講じられて絶対に安全であるという主張はかくして崩れた。それはすべて想定内の事態に対してであり想定外の事態に人は如何に無力であることか。
大事なことは私たちはかくも恐るべき自然に畏敬の念を改めて感じ入るべきであって、全てを制御出来るなどとは考えないことだ。



海の向こうの知人達からは早く退避してこっちに逃げて来いと何度も声をかけられている。
だが、介護を抱えている身で動きようもない。
それに災害にあって身動きもできない被災者の方々が恐怖と絶望の底にいるというのに同じ日本人として逃げ出す訳にもいかないね。
部屋を提供してくれるという友人達には感謝申し上げるしかないが、日本で運命を共にしよう。
例え、炉心溶融メルトダウン、放射能全国拡散というような悪夢が現実になってもだ。
この非常事態になったことの責任は極めて重大と言うしかないが、結末がどうなるか想像もできない事態は続いている。



それはもう最後は運命と言うしかあるまい。
運命を受け止めるよ。










地震が見つけたタイムカプセル Time Capsule in Earthquake [Accident 事件事故災害]






ニュージーランド・クライストチャーチからこれまでとは違う話題が届いた。
暗く沈鬱な悲劇が続いていたが、Bob Parker パーカー市長は何だか誇らしげな表情にも見える。
















映像を見るとクライストチャーチ大聖堂の中ではなく大聖堂前広場に建てられていた銅像のようだ。


銅像の人物はジョン・ロバート・ゴッドリーというアイルランド人らしい。









Cathedral Square.jpg





 





 











 






彼はクライストチャーチの発展に寄与したということで銅像が144年前に建立されたようだが、
永住した訳ではなく最期はロンドンであったことからしても、ご本人は銅像が建てられたことにあの世から驚いていたかも知れない。


それ以上に、クライストチャーチが地震の被害を受けたこと、そして銅像が壊れて、そこからタイムカプセルが出て来たというのは、まあそこまでは関係ないよと苦笑しているかな?




 



Christ Church Cathedral.jpg






















崩壊する前のクライストチャーチ大聖堂








それにしても、クライストチャーチ市長はこういう時だからこそと明るい話題として嬉々とした表情で記者会見に臨んだ様にも見えたりするが、こういう時だからこそ気をつけなくてはね。


これは責めるつもりはないのだけど、生存者の方達がインタビューで生還した時の様子、亡くなった知人のことなどを語る時に、思わず口元が綻んでしまったりする。
これは本能的にも生還出来た喜びが周りの悲劇に勝ってしまうのだろうけど、気をつけなくてはいけないね。
生還した人と亡くなった方とでは天地の差がある。
インタビュアーも質問する前に戒めるよう注意した方がいいのではとも思ってしまうが、
生還者も天国と地獄を一時に経験した様なものなので、感情をコントロールするのは難しいだろうかね。まあ、難しいんだろうね。




はてさて、それにしてもタイムカプセルの中身は何なのだろうか?気になるな。











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