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あの日のララ Lara on that day.. [Pet Story ペット]



あの日から6ヶ月が過ぎた。


きょうはララの月命日。
この半年、書こうと思って書けなかった当日の出来事を書こうと思う。
1ヶ月、2ヶ月と毎月の月命日に何度も書こうと思ったが、余りに悲し過ぎて書くことができなかった。




昨年10月14日。
ララを車に乗せて、スーパーで買い物。

もう既に夕方5時近く,黒い雲が広がり今にも雨が降りそうな天候になり、
散歩はその近場にした方が良かろうとの判断でいつもとは違う公園を選択。

そのスーパーからも自宅からも比較的近い公園だが、昔から余り馴染みのなかった公園。


車を停めて、ララと散歩に繰り出す。
いつもの様に大喜び、はしゃいで跳びだすララ。 だが、ここはララにとって初めての場所だった。




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とりあえず、道路をまたぐ歩道橋を渡ることに。
今でも、悔いが残っているのだが、ここでラッシュで混み始めた道路の車の様子をララに観察させることにしてしまった。
ララは日頃から車に対する警戒心がまったくなく、むしろ走って来る車に向かって吠える敵対心を露にすることが多く、この癖を直さなければと日頃から思っていたからだった。

ララは先へ先へと行きたがっていたが、薄暗くなった時間帯でほとんどの車がヘッドライトをオンにし始めていた
し、道路は危険なものだと教えたかったのだが、これが仇になってしまった。


ヘッドライトの群れを不思議な表情で眺めていたララだったが、
私たちはその後、公園の奥に向かっていた。




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ちょっとした池もあり、池の向こう側まで行けば歩道橋からは300mくらい離れたことになる。
ララはいつもの大きな公園の広場であれば、リードを離しても何とか制御は出来るようになっていたが、
こういう雑木林、小径が連なるような場所でリードを離してどうなるかはよく分からなかった。

だが、どうしても訓練しておきたかった。
紅葉の鈴鹿山脈に犬連れ登山を試みようと考えていたからだ。
山中で何かの拍子でリードから手が離れても、制御できるよう訓練しておきたかったから。

山で離れ離れになることが如何に危険かはよく分かっているつもりだったし。

だが都会の方がむしろ危険だったのだ。




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だがリードを離した瞬間、ララはこの小径を小走りに走り始めてしまった。
まっすぐ走って行くララ。

だが、その先でようやく止まってくれた。
ここでリードを復活させるべきだった。ここでも悔いが残る。
道路からは300mも離れている。大丈夫だろう、そう計算していた。




DSC05089.JPG





























小径にある1本の木。
ララはそこでマーキング行動をしたのだ。
木の根元の臭いを嗅いでいたララは唐突に身体を横たえて、根元に擦り付ける行動を3、4回ほど繰り返した。

そういう仕草を見るのは初めてで、あれっ?と思った瞬間だった。
どうも他のオスの臭い?に初めて反応したのだろうか?

嬉しそうにしたその直後、何かに憑かれた様に突如としてまた走り始めてしまった。



私は捕まえようとしたが、私の脇をするりと抜けて通過してしまった。
スライディングしてでも止めるべきだったが、そう思うのは後の祭りなんだよ、どんな場合でも・・。


まあ、300mはある、それまでに止めようと思い全力で走って、
池の角を曲がった時、何と道路まで数十mの距離にあることを直感していた。


事故の後で検証して分かったのだけど、車道は思った以上にカーブしていて、
既に道路がすぐそこまで来ていたのだった。人の感覚とは曖昧なものだな。



ララが軽やかに走り抜けるその途中に小型犬の散歩をしていた方がいた。
普段なら人も犬も大好きなララは挨拶でそこで立ち止まっただろう。




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だがそれにララは見向きもしない。道路へ向けて走り続ける。
普段とは何故なのか明らかに様子が違っていた。

「ララ!待て! 待て!」と叫びながら走る私。


道路にたどり着いたララはそのまま、車道に並行する歩道をしばらく走った。
まだ間に合う!
「ララ〜〜!!!」


車道へ跳び出るララ。
ラッシュの時間帯で、車は次々と通過していた。

中央ラインを超えた所で、ちょこんと座ったララ。
やって来る車をララが見つめたその瞬間だった。




DSC05102.JPG



















人はあってはならないものを見てしまった時、その記憶をなくす様にしているかも知れない。


犬が車道に跳び出て来ても、ブレーキもかけることなく通り抜けてしまった車。
右前輪と右後輪。

轢かれて横たわるララ。
後続の車はすべてブレーキングで止まってくれていたが、轢いた車はそのまま直進。

条件反射を起こしたがごとく私はガードレールを跳び越えララを抱き上げ、再び走り始めていた。
横目で轢いた車を一瞥した後は動物病院まで、何処へ連れていくか考えを交錯させながら走っていた・・。




以上が ララに起きた出来事だ。
悔いても悔いても時計の針は元には戻ってくれない。

そこから先のことはまた書く気になれたなら、いつかまた書こうかな。




先ほど触れたように、決して見たくはないもの、あってはならない場面を人が見る時、
見たはずの記憶のそれを脳は記憶しないのだろうと思う。



車道にチョコンと座ったララ。
怖いものなしでいつもは車に向かって吠えていたララにも、その瞬間は何が起きるのか分からなかったのだろう。
私の記憶はそこで一瞬だが途切れている。


ララが車輪に二度に亘って轢かれたコンマ何秒かの瞬間をまるで見ていないかのように思い出せない。
不思議なことだ・・。


見たはずのことが見えていないというのは、私の心の中のトラウマでもあるからなんだろう。










Stranger In Paradise  by Sarah Brightman









出口のない介護家庭で、唯一の喜び明るい光の象徴がわずか5ヶ月半の命で潰えてしまった。

ブリーダーさんから手渡されて、その近くにある雄大な表浜の海岸を短時間だけララと散歩した。

2度目の予防注射がまだであったから、充分ではなかったが、
初めて見る海、太平洋を望む砂浜でララは喜んでくれたことだろう。





あれから半年。

太平洋を眺めながらララと走ろう。

夢想の中で全身で喜びを表して走るララの姿が見える。

この世で生きるということ、死するということ。

砂浜を何処までも何処までも駆け抜けるララが 改めてそれを教えてくれている・・。







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Lara on the Pacific beach...














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コメント 2

youzi

大黒屋さんのお気持ち、よく分かります。
私も、ももの事に関しては、後悔ばかりしています。
ララちゃん、短い間でも大黒屋さんと一緒に
過ごす事ができて、本当に幸せに思っていると思います。
だから、楽しかった事を沢山思い出してあげてください。


by youzi (2010-04-17 20:28) 

大黒屋

youziさん

いつもありがとうございます。
天寿を全うしての死ではなく不慮の事故死で死なせてしまったというのはどうしても受け入れられませんね。
楽しかった思い出、少ないんです。もう少し思い出を重ねてやりたかったです。それが残念でなりません。


by 大黒屋 (2010-04-20 00:54) 

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