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第3の怪物 The 3rd Monster [Accident 事件事故災害]





 現代の人智を越える大地震、それに続く大津波。想定外の自然現象に人は為す術がない。
M9.0の地震も震源地が遥か沖合いであったから、建物も多数が持ちこたえていたようだが、
巨大な津波は堪えた構造物を悉く破壊してしまった。
高さ数メートル、厚さ1メートルもの防潮堤も根こそぎもぎ取られている訳だから、想定を遥かに越えた津波であったということだろう。所によっては高さ15メートルにも達していたそうだし、5階部分をやられたビルもあったので想像を絶する。
スマトラ地震を経験したインドネシアの女性がこの災害にビル上階に逃げるのではなく、高台に逃げるという教訓を得たとしていたのが印象深い。










Fukushima 1st Nuclear Power Plant by Digital Globe
Fukushima.jpg


 
























 





 



福島第一原子力発電所







しかし、大地震、大津波という怪物に続けて襲われて、それで終わらなかったのがこの大災害の悲劇だ。
今やその第3の怪物は天災と人災とが編み出したモンスターだ。
我々人類が天災を引き金にしたとは言え、生み出したその怪物に対処出来ないと音を上げるようなところまで追い込まれたのだ。

それにしても、爆発を引き起こすに至った東京電力が一時、職員全員の撤退を打診していたということが報道されている。これまでの報道でも一部の現地スタッフを退避させたことが明らかになっているので、この報道も大きく外れた誤報ということでもなさそうだ。

国内の原子力発電の安全性を誇っていた関係者の矜持は何処へ行ったのだろう?
万が一にも臨界などという惨事に至るとしても逃避したのだろうか?
そもそも負傷者まで出して、周辺住民、自治体に多大な被害迷惑をかけて、計画停電などという事態を引き起こしておきながら、最高責任者の姿が見えてこない。


首相、官房長官が全面に出て説明責任対応に追われているというのに、東京電力は役員が20人ほどいるようだが、ほとんど前面に出て来ない。説明は中堅どころに任せて陰に引いている。
これは国家的危機だ。一歩間違えれば東日本は麻痺して半身不随になってしまう。


それを分かっているのか?分かっているから逃げているのか?縁戚者の中に電力会社管理職がいるので言いたくはないが言わねばならない。
最高責任者が前面に出て原子力災害、計画停電について随時説明もしないような電力会社は原子炉の廃炉と一緒に
廃棄処分で結構だ。ゼロから出直すべきだ。それほど危機対応はなっていない。













自衛隊ヘリコプターに東京電力の職員が同乗してこの映像を撮影したようだ。
自ら志願したのか指示されたのか分からないが、きちんと撮影するという余裕はまったくなかったようだ。
ほとんどの映像がアップのままで使い物にならない。この映像のみがワイドで撮影しているので辛うじて現場状況を説明してくれている。


ロシアやウクライナの知人達は如何にこの事態が脅威なのか知っているから、何度もこっちに避難して来いと言ってくれている。チェルノブイリのような原子炉爆発ということにはならないだろうが、原子炉の破壊、放射能の大量放出拡散という危機は続いている。
ロシアの知人は原子炉で闘っているヒーロー達の名前、顔は知っているのかと問うてきたが、No name, No faceと答えるしかなかった。


きょう以降も原子炉では放水が続けられてギリギリの作業が続くようだが、結末はどうなるであろうか?
その放水作業も警視庁の高圧放水車は80メートルも水を飛ばす能力があるそうだが、44トンも放水したにも関わらず放射線の為?届かず?作業を断念、もう既に撤収したそうだ。


しかし、自衛隊の高圧消防車は功を奏したようで建屋には30トンが放水されたようだ。
思うに放水能力はともかく、失礼ながらこういう緊急非常事態には自衛隊や消防救助隊の方が肝が据わっているように感じる。彼らの作業は時に命を賭してという覚悟があるものなので、電力職員、警察官とは腰の入れ所が違う様にも思ったりもする。
















まあ、いずれにしても命を賭して現地で闘って来ているすべての人々を賞賛するしかない。


それに比べて、こういう危険構造物を関東から遠く離れた東北地方に持って来て、東京でふんぞり返って来た電力、原子力専門家、政府関係者の連中でこの危機に原発現地に入って前線で闘っている者はほとんどいないことだろう。
それに原子力安全・保安院は連日記者会見を行っているが彼らは何をやっているのだろう?
結局、非常事態に統合指揮するシステムがなく、内閣と東電とで統合対策本部を設置したようだが、
国家的緊急危機管理をどうするか考えるべきところに来ている。


まあこの事態が最終的にどう転んでもそういうことだ。そして誰がヒーローで誰がそうでなかったか、
俗的関心ではなくて、そこからも国家的危機管理のあり方が見えてくるような氣がしてならない。











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コメント 4

RO

これまで原発を推進してきた自民党の連中の姿が見えないですね。
おわびや反省の声も聞こえてこないです。TVを見ながら
現政権の狼狽える姿を見て笑ってる気がします。。。
by RO (2011-03-19 03:23) 

久

管さんの酷さも良く分かりました。日本は今、頭が腐っているんですね。
by (2011-03-20 14:50) 

daikokuya

ROさん
自民党政権時代のスマトラ大地震できちんと大津波対応をしっかりしておけば、ここまでのことにならなかったのでしょう。後悔先に立たずですね。
by daikokuya (2011-03-23 21:28) 

daikokuya

久さん

日本人自体が以前から地盤沈下していたのでしょう。悲しいですね。
by daikokuya (2011-03-23 21:29) 

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